災害、その時の対処法―火災―

火災は日常生活の上でも発生の危険がありますが、特に地震や台風、竜巻、雷等の様々な災害によっても引き起こされ、多くの被害をもたらします。

2016年の新潟県糸魚川市の大規模火災が有名で、3万㎡以上が焼けてしまいました。


火災に遭遇した時は、「通報」「消火」「避難」の行動を起こす必要がありますが、判断を誤ると死につながります。自分の力でどこまで消火できるのか、「初期消火の限界」を知っておくことが、正しい判断につながります。機会があれば、是非地域の避難訓練等に参加しておきましょう。

それでは、それぞれのポイントについてご紹介いたします。



【通報】

火災に遭った時は、

①119に連絡し消防隊に知らせる 

②火事だーと叫んで周りの人に知らせる

ことで被害を小さくしましょう。



【避難】

火災時の避難のポイントは、絶対に煙を吸ってはいけないということです。煙には一酸化炭素等の有毒な成分が含まれているため、吸い込んでしまうと中毒を起こし、場合によってはその場で死に至ります。そのため、煙を吸わないための工夫が必要です。

・息を止める

・下の方にある空気を吸う

・空気を持って避難


煙は上から下へと層をなすように下がってきますので、下の方には空気が残っていて、視界が開けています。煙が多くなってしまった場合は、ハイハイ程度の高さでは煙を吸ってしまうため、あごを床につけるようにして、手は肘までつき、足だけで進むような「床をなめるような姿勢」が基本姿勢になります。階段の場合は段差のコーナー部分に空気が残っていますので、足から降りながら空気を吸いつつ避難します。

ポリ袋などを持っていれば、避難行動を起こす前に空気を入れて持ち運び、吸いながら避難することもできます。

非常口や避難経路はあらかじめ確認しておくべきですが、分からない場合は誘導灯に従って進むと非常口にたどり着くことができます。ビルやマンション等では防火扉が作動し、区画が形成されている場合があります。その場合はあわてずに防火扉を開け(防火シャッターの場合は近くのくぐり戸)、避難します。この時に注意することは、防火扉の向こう側が火災になっているとドアノブ等が熱くなり、火傷してしまいます。急いでいても、すぐドアノブを触るのではなく、防火扉自体を手の甲(指先を守るため)で触りましょう。また、防火扉を開けた場合は、必ず閉めることを忘れないようにしましょう。


避難した後は大切な人や物が残っていたとしても、素人が建物内に戻るのは非常に危険です。消防隊に逃げ遅れや避難状況等を伝え、任せましょう。



<マンションでの避難>

玄関から避難できない時は、バルコニー側から避難できます。隣室との間に仕切り板や避難はしごがあり、避難できるようになっています。どの経路で避難するかは、どの部屋から出火しているのかが重要になります。(例えば、自分の部屋より斜め下から出火しているの場合、避難はしごで降りるときに煙を吸ってしまう危険があります。)

・仕切り板→蹴破って隣室へ避難

・避難はしご→はしごを使って、下の階へ避難

避難はしごがかかる部屋は上階の方が降りれるよう、バルコニーを日頃から片付けておく必要があります。いざという時に住民同士が連携をとれるよう、日頃からコミュニケーションを欠かさないようにしましょう!



【初期消火】

初期消火は火が小さいうちに消火器やバケツを使用して行います。

初期消火の限界は「火が天井に達するまで」と言われます。天井に達してしまった場合は、避難を優先しましょう。


火を消す方法は、

①水をかけて冷やす

②酸素を遮断する(バックドラフトには要注意)

③可燃物を除去する

④火を吹き消す

⑤燃焼反応を抑える

等があります。防災資機材でもお話しましたが、消火器を使用する場合は種類によって対象物が変わりますので注意が必要です。



<消火器の使い方>

①消火器を火元の近くに持ってくる

②安全ピンを指にかけ、上に引き抜く

③ホースを外して火元に向ける

④レバーを強く握って噴射する

Point

・風上に回り、できるだけ火や煙をさけながら消す。

・腰はやや落とし、姿勢を低くする

・火の根元を掃くように左右に振る



<水バケツでの消火>

一気にかけるよりも、少量ずつ何度もかける方が効果的。

バケツリレーするときは2列になって、水の入ったバケツをリレーする列と空になったバケツをリレーする列に分ける。バケツに入れる水は6~7分程度にしておくとこぼれにくく、子どもや高齢者でも運びやすくなります。



【参考】

NPO法人 日本防災士機構(2018年)、『防災士教本』

マガジンハウス(2019年)「自衛隊防災BOOK 2」