食中毒って何だろう?

【食中毒とは‥‥】

食中毒と言われると「腐ったものを食べて下痢や腹痛を起こすこと」と考えている人が多いのではないでしょうか?でも実は「食中毒」と「腐敗」は全く別物です。食中毒とは、細菌やウイルスなどの微生物が繁殖した食品、有毒な化学物質やフグなどの自然毒が含まれた食品を食べることによって引き起こされる健康被害のことです。腐敗とは、微生物が人間にとって害のある物質をつくりだすことです。つまり微生物の働きで食品の見た目や味が悪くなったり臭くなることで、人間にとって有害なものに変化すれば「腐敗」となります。逆に、ヨーグルトや納豆など人間に有益となれば「発酵」となります。このように、「食中毒」「腐敗」「発酵」はいずれも微生物によってもたらされるものですが、食中毒を引き起こす微生物はそのなかのほんの一部なのです。

食中毒の主な症状は下痢・吐き気・嘔吐・腹痛・頭痛・発熱ですが、重症化する場合もあるので注意が必要です。基本的に食中毒は人から人に直接感染することはほとんどありませんが、腸管出血性大腸菌(O-157等)、赤痢菌、ノロウイルスなどは感染力が強いため、人から人へ感染することがあります。



【食中毒の発生状況】

■発生件数(2019年)


■月別の発生件数(2019年)

出典:厚生労働省「食中毒統計資料(2019年)」



食中毒の発生状況は1年のなかで一定ではありませんが、春になって暖かくなるにつれて徐々に増え始め、7月から9月にかけての夏場に発生ピークを迎えるといわれています。寒い季節には少ない傾向にありましたが、2006年頃からノロウイルスによる集団感染が冬季に多発しています。また、最近ではアニサキス食中毒が増加傾向にあることから、細菌やウイルスだけでなく、寄生虫の注目度も高まっています。月別の発生件数をみると、細菌による食中毒は夏場に発生件数が多くなり、ウイルスによる食中毒は空気が乾燥する冬場に発生件数が多くなっています。このように、さまざまな原因物質によって食中毒は1年中発生していますので警戒が必要です!



【参考】厚生労働省HP

    国立感染症研究所HP


【監修】一般社団法人 神戸食品微生物科学協会

    会長 武政 二郎

 https://www.kobe-biseibutsu.or.jp/