災害、その時の対処法―地震編②職場・学校―
今回は我が家以外の外出先で地震が起きた時の対処法をご紹介します。
これらで共通していることは、「パニック」が起こる可能性があるということです。パニックが起こる4条件は以下になります。
①差し迫った危険が存在すると人々の中で認識されている(または思い込んでいる)時。
②脱出の可能性がある時。
③脱出ロに制約があり、全員は避難できそうにない時。
④正常なコミュニケーションが欠けている時。
パニックが起こると人がドミノ倒しになったり、場合によっては踏みつけられて圧死してしまいます。日頃の避難訓練は、避難場所や避難経路を知ることができるため、脱出の可能性を高める他、訓練中のコミュニケーションを図っておくことでパニックの防止につながります。学校や職場で避難訓練がある場合は、積極的に参加しましょう。文部科学省の「東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告」では、避難訓練を実施していた小学校ほど、児童がパニックに陥った割合が低くなったとされています。
(文部科学省「平成24年3月 東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告」2020年7月16日アクセス)https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323511.htm
また、パニックが起こりそうな時に、「大丈夫だ!全員助かるぞ!」「落ち着け!」といった言葉で防止されたケースもあります。不安な時こそ、コミュニケーションをとり落ち着くようにしましょう。
◆学校
学校で地震に遭ったときは、まず電灯や時計といった落下物から頭を守るために机の下に隠れます。その後、先生や教員の指示に従って避難行動をします。この時に「おはしもち」の合言葉が大切です。
お:押さない
ゆらゆらと強い揺れを感じた時、とても不安になり先に脱出したくなります。そういった行動はかえって避難の時間がかかる原因になり、また押されたことによって倒れた人が踏みつけられると命に関わります。災害の時は急いでいても「押さない」ようにしましょう。
は:走らない
慌てて走ると転倒したり、がれきやガラスの破片を踏んでしまって思いがけないケガを負うかもしれません。余計なケガをしないよう、慌てて「走らない」ようにしましょう。
し:喋らない
学校等では、避難誘導や指示を行ってくれる先生や教員がいます。一人一人が勝手に行動すると、パニックになったり、大切な指示を聞き逃してしまいます。しっかりと落ち着いて、先生の指示を聞くようにしましょう。
も:戻らない
災害は建物にどんな被害を与えているのかがわかりません。物が倒れて破片が散乱していたり、暖房器具が倒れて火事を引き起こしたり、建物自体に亀裂が入って倒壊の危険があったり…とあらゆる危険性が考えられます。大事なものを忘れたとしても、命より大事なものはありません。安全が確認されるまでは「戻らない」ようにしましょう。
ち:近寄らない
「戻らない」と同様で、建物やブロック塀など安全であることが確認されていない場合は、崩れてくる恐れがあり危険です。安全が確認されていないものについては、二次災害に巻き込まれないよう「近づかない」ようにしましょう。
また、休み時間等、教員が指示できない状況下で地震が発生する恐れもあります。いざという時に子供たちだけでも適切な避難行動ができるよう、防災の勉強をしておくことが望ましいです。
◆職場で
職場でも、まず頭を守る行動が先決です。机の下などに隠れ、落下物や移動してきたもの等から身を守りましょう。特にオフィスの場合はキャスター付きの椅子などを揃えていることが多いので、衝突には十分に注意しましょう。パイプ椅子などがある場合はヘルメット代わりに活用することもできます。
また、高層ビルの場合は長周期地震動によるスロッシング現象が起こり、地上よりも大きな揺れを感じることがあります。吊り下げ照明の場合は照明同士がぶつかり合って割れたり、ウォーターサーバーの転倒にもつながります。倒れやすいものは出入り口の近くには置かないようにしておきましょう。
マンションでもそうですが、エレベーターでの避難は絶対に避けてください。停電した場合、閉じ込められる危険性があります。必ず非常階段を使用して避難するようにしましょう。いざという時のために、一度非常階段を利用し、体感しておくと経路も把握できるため良いでしょう。
<エレベーター内で被災した時>
エレベーターは震度5以上の揺れを感知すると緊急停止するようになっています。全ての階のボタンを押し、停止した階でおりましょう。平成21年以降のエレベーターの場合は自動で最寄りの階に留まるように設定されています。
閉じ込められてしまった場合は、映画のように扉をこじ開けたり、天井からの脱出は困難です。非常ボタンから外部に助けを求めましょう。繋がらない時は119番に通報し、救助を待ちましょう。密室空間になりますので、非常にストレスを感じやすい状態にはなります。くれぐれも一緒に閉じ込められた方とは協力し合うよう、コミュニケーションをとっておきましょう。
【参考】
NPO法人 日本防災士機構(2018年)「防災士教本」
東京都(2015年)「東京防災」
マガジンハウス(2018年)「自衛隊防災BOOK 1」
マガジンハウス(2019年)「自衛隊防災BOOK 2」
主婦の友インフォス(2019年)「防災減災119」
日本経済新聞社(2019年)「警視庁災害対策課ツイッター 防災ヒント110」
NPO法人ママプラグ(2019年)「全災害対応!子連れ防災BOOK」
ゴマブックス 和田隆昌著(2006年)「大地震 死ぬ場所・生きる場所」
文部科学省HP「平成24年3月 東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告」
(https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323511.htm 2020年7月16日アクセス)
0コメント