災害、その時の対処法―地震編①自宅―

発災時の対処方法についてご紹介いたします。

今回は「地震」について、個別のシチュエーションごとにご紹介します。


大地震が発生すると、思うように行動できないことがほとんどです。特に震度5弱以上になると揺れている間は、動くことすらできなくなります。そのため、揺れと同時にとっさの判断が求められます。全てのシチュエーションで共通することは、まず自分の身を守ることです。


地震は刻一刻と状況が変化していきます。経過時間に合わせて、適切な対処をすることが被害を抑えることにつながります。被害状況にも依りますが、地震発生後から3日目までの大体の時間割は次の図のようになります。

それでは、今回は「我が家」で地震が起きた時の対処方法をご紹介します。


◆我が家で


リビング、キッチン

リビングやキッチンにはテレビや冷蔵庫、食器棚や収納棚等の家具・家電が置いてあります。まずはこれらが倒れてきても下敷きにならない場所に移動することが大切です。

また、時計や照明が落下したり、窓ガラスが割れるため破片が飛び散ります。頑丈な机の下等に隠れ、直撃しないようにしましょう。破片は踏むと危険ですので、日頃から底の厚いスリッパを履いておくことがオススメです。

引き出しや棚や突然開いたり、またキャスター付きの家具も揺れで移動したりしますので、注意が必要です。

料理中等で火を使用している場合は、揺れが収まってから火を消しましょう。慌てて消そうとしては、火傷を負う原因になります。震度5相当の揺れでガスメーターの安全装置が作動し、ガスが遮断されますので、まず熱々の料理やお湯が自分にかからないように注意しましょう。ガス栓を締めれそうであれば、タイミングを見計らって締めておきましょう。



リビング、寝室

寝室やリビングで頑丈な机が近くにない時は、布団に潜り込んだり、クッションで頭を守って落下物からの直撃を避けるようにしましょう。先ほどの事前準備と同じく、物が「降ってこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に移動し、揺れが収まるまでむやみに動かないことが大切です。

もし、近くにクッション等がない場合は、トイレ等の比較的頑丈な部屋に逃げ込んだり、脱出しやすい廊下や玄関へ移動しましょう。トイレに逃げ込む場合は、扉を開けて閉じ込められないようにします。廊下、玄関の場合も物が「降ってこない」「倒れてこない」「移動してこない」状態かどうかを平常時から確認しておきましょう。

就寝中に地震が起きた場合は、まずは扉を開けて出口を確保しましょう。停電して辺りが真っ暗なことも十分に考えられます。枕の近くやベッドの下等に靴や着替え、懐中電灯を備えておくと便利です。



お風呂場

お風呂場で地震にあった場合は、洗面器で頭を守りながら扉を開け出口を確保しましょう。揺れで浴槽からお湯が飛び出し、石けん等が床に転がって滑りやすくなる上、照明やガラスの破片が飛び散ったりと非常に危険な状態になります。一刻も早く脱出したい気持ちはありますが、焦らず転倒には気を付けて行動しましょう

脱衣所にバスタオルや衣服があれば羽織り、揺れが収まってから安全な場所に移動しましょう。



その他

万が一、閉じ込められてしまった場合は、近くの硬いもので壁やドア等を叩く、笛を吹く等をして周りの人に「人がここにいる」ということを知らせましょう。

建物の安定性が低い場合、1階が倒壊して押しつぶされてしまうことが考えられます。その場合は、慌てて1階へ移動するのではなく、外へ脱出するかどうか状況を見て判断しましょう。



揺れが収まったら

①出入り口の確保

②火の始末(電気ストーブのプラグを抜く等も含む)

③ブレーカーを落とす

の3点を余震に気を付けながら行いましょう。

破片等が飛び散っている場合がありますので、必ず裸足では歩き回らないでください。家族で一緒にいる場合は手分けしましょう。

ガス管や電線が破損していることも考えられますので、ライター等で光源をとったり、不用意に部屋の電源スイッチに触れるのは危険です。安全が確認できてから電源を入れるようにしましょう。ガスのニオイがした場合も同様に、換気扇ではなく窓を開けて換気するようにしましょう。

また、片付けを行う前に余裕があれば、被災状況の写真を撮っておきましょう。特に家の外観等の被災状況は、各自治体への被災証明書や罹災証明書の届出に必要な場合があります。



避難所へ避難すべきかどうか

土砂崩れや津波、液状化、家の倒壊の危険性のある場合はすぐに避難すべきですが、家を多少片付ければ住める場合は、ライフラインが止まっていたとしても在宅避難は可能です。

特にお子様や高齢者等がいる場合は、避難所へ行くことで反って感染症のリスクやストレスの原因になることがあり、また女性や子供はセクハラや窃盗といった犯罪に巻き込まれることも考えられます。

家の被害や周りの状況にもよりますが、避難所に行くことが全てではないことを知っておきましょう!

また、玄関の扉が変形して鍵がかからなくなった場合を想定して、工事不要で取り付けられる玄関補助錠を準備しておくと避難所へ行くときに安心です。



【参考】

NPO法人 日本防災士機構(2018年)「防災士教本」

東京都(2015年)「東京防災」

マガジンハウス(2018年)「自衛隊防災BOOK 1」

マガジンハウス(2019年)「自衛隊防災BOOK 2」

主婦の友インフォス(2019年)「防災減災119」

日本経済新聞社(2019年)「警視庁災害対策課ツイッター 防災ヒント110」

NPO法人ママプラグ(2019年)「全災害対応!子連れ防災BOOK」