ワクチン

‣ワクチンの働き

人は病原体が体内に入ってきても感染症から身を守ることのできる免疫機能を持っています。しかし、初めて出会った病原体に対してはすぐには多くの抗体を作ることができません。そこで、病原体を無毒化したり、病原性を弱めるなどしたワクチンを接種することによって、病原体が侵入した時に抗体を速やかに作り、やっつけてくれるようになるのです。



‣ワクチンの2つの役割「個人を守る」「社会を守る」

ワクチン接種を受けた本人が免疫を獲得することで、感染症にかかりにくくしたり重症化を予防できます。また、集団が免疫を獲得することで、感染症の流行を食い止めることができるとともにワクチンを接種できない人も間接的に守ることができます。ワクチンは自分の身を守り、そして自分のまわりの大切な人たちを守るうえで大きな役割を果たしています。



‣ワクチンの種類

ワクチンは感染症の原因となるウイルスや細菌をもとに作られており、成分の違いから以下のように分けられます。


‣ワクチン接種時の注意事項

■複数のワクチンを接種する場合は、安全性の面から原則として生ワクチンは接種後4週間(27日)以上、不活化ワクチンは接種後1週間(6日)以上の間隔をおくこととされています。


■ワクチン接種により副反応が起きることがありますが、多くは発熱や倦怠感、注射した部分が腫れるといった比較的軽く短期間で治るものです。ごくまれに、重いアレルギーなどの重症な副反応が起きることがあります。



‣ワクチンで予防できる感染症

世界中には、数多くの感染症が存在しています。なかには、マラリヤやデング熱のように有効なワクチンがないために、年間で何百万という人の命を奪っている感染症も少なくありません。数多くの感染症の中でワクチンで予防できるものはたいへん少数ではありますが、天然痘が撲滅できたのもワクチンのおかげなのです。

ワクチンで予防できる感染症をVPDといいます。VPDを知り、みんなが適切にワクチンを接種することで必要な免疫をつけておくことがとても重要です。

※VPDとは、Vaccine Preventable Diseasesの略です。

‣学校において予防すべき感染症

子どもたちの集団生活の場は、感染症が流行しやすい条件が揃っています。

学校で発生する可能性がある感染症とそのなかでワクチンで予防できる感染症を紹介します。

これらの感染症にかかった場合は、感染症の集団発症などを防ぐことを目的に、

学校保健安全法により出席停止期間が定められていますので注意が必要です。


‣定期接種と任意接種

風しんや水痘のように集団予防目的の「定期接種」とインフルエンザのように個人予防目的の「任意接種」が実施されています。赤ちゃんはお母さんのお腹の中や母乳から免疫を受け継ぎますが、生後半年くらいでその効果は無くなると言われています。それぞれの定期接種を実施する推奨時期は、お母さんから受け継いだ免疫効果の減少や感染症にかかりやすい年齢などを考慮したモデルスケジュールがあります。子どもの体調をみながら、かかりつけの医療機関で相談して接種していきましょう。