身近な防災対策―家族防災会議―
◆我が家の防災第一歩「家族防災会議」
家族で事前に災害について話し合うことは、いざという時の大きな備えになります。
東日本大震災の時、地震後、家族を探しに行ったり、迎えに行ったりして、すぐに避難しなかった方が多くいらっしゃいました。さらに、通常の約9倍の電話トラヒックが被災地に集中し、電話がつながりにくい輻輳(ふくそう)状態になりました。
ただでさえ災害のショックで不安や恐怖のある中、家族の安否が分からないのは非常に心苦しいですね。
そうならないためにも、事前に家族防災会議を行い、災害に備えることは大切です。
◆家族防災会議で話し合っておくこと
①我が家の災害リスクは?
②地震が起きた時、我が家の危険な場所と安全な場所は?
③避難場所と避難経路は?(昼間と夜間)
④備蓄品と保管場所は?
⑤非常持ち出し品は?
⑥消火用品、防災資機材は何が要る?
⑦我が家で災害が発生した時の役割分担は?
⑧連絡方法は?
①我が家の災害リスクは?
各自治体では、洪水、津波、火山、地震などの様々な自然災害を想定したハザードマップを作成しています。
また、「もしも、こんな災害が起きたら‥‥」という被害想定も行っています。
まず、我が家に起こり得る災害を確認しましょう。
②地震が起きた時、我が家の危険な場所と安全な場所は?
家の中は家具や家電がたくさんあります。これらが倒れてきてしまうと、下敷きになったり、出入り口をふさがれたりするため、逃げようにも逃げられません。また棚などから物が落ちてこないかは確認しておき、揺れが収まったら落下物のない場所へ移動しましょう。
移動する際は落下物の破片を踏んでケガをしないよう、スリッパ等を履いてください。
③避難場所と避難経路は?(昼間と夜間)
◎避難場所を決めておく訳
災害が起こってから避難場所を探していたら、逃げ遅れてしまうことも考えられます。
また、平日は職場や学校、買い物に行ったりと、家族がバラバラでいることがほとんどです。事前に避難場所や集合場所を決めておけば、連絡を取らずとも集まることができます。
◎避難経路を決めておく訳
避難経路をきちんと決めておくことは、私達の生死に関わると言っても過言ではありません。特に重要なのは、避難するときに本当にその道は安全に通れるのかを確認することです。
2018年6月18日の大阪北部地震では、小学生が崩れてきたブロック塀の下敷きになって亡くなられたという痛々しい記憶が残っています。避難中に余震が起こり、塀が崩れてくる可能性は十分にあります。
たとえ近道だったとしても両サイドが塀に囲まれた道を進んでいくのは安全なのでしょうか?車で避難するとき、塀のがれきで道がふさがって通れないかもしれません。小さなお子様や高齢者と一緒なら、どうやってその道を通りますか?
また、避難経路は夜間も別途確認しておくことが非常に重要です。
2019年9月の台風19号は夕方から夜中にかけて東日本に上陸しました。車で避難する際、道路が浸水していることに気付けなかったため、流されてしまった方もいらっしゃいます。さらに、地震や台風には停電が付き物です。真っ暗闇を突き進まなければならないかもしれません。
①で紹介したハザードマップには、避難所の場所や浸水が想定される場所が記載されています。国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」は道路冠水想定箇所も記載されており、とても参考になります。
必ず昼と夜の2つの状況を確認し、あらゆるリスクに備えておくことが大切です。
④備蓄品と保管場所は?
災害の影響で、電気、水道、ガスといったライフラインが止まってしまったとしても、生活しなければなりません。場合によっては移動手段さえも断たれ、孤立してしまうことも考えられます。備蓄品はそんな非常時のために備えておきますが、使用期限が切れてしまっていたり、保管場所が分からならければ意味がありません。また、家族構成や地域特性によっては必要な物は変わってきます。
しっかりと家族みんなで話し合って、備えるようにしましょう。
⑤非常持ち出し品は?
避難するときに持ち出す荷物は、家族構成や季節によっても変化します。
実際に持ち出せるかどうかを確認し、誰がどの荷物を持っていくのか等の役割分担をしておきましょう。
⑥消火用品、防災資機材は何が要る?
テントやビニールシート、バール等、様々な災害を想定すればするほど際限なく増えてしまいます。そのため、何を優占して備えておくかは決めておくべきです。また、防災資機材や消火用品の使用方法は必ず確認し、いざという時に使いこなせるようにしましょう。
※④~⑥の具体的な防災用品については別途ご紹介します。
⑦我が家で災害が発生した時の役割分担は?
災害後、気を付けないといけないことは二次災害です。特に地震や津波は同時に火災が発生しやすいといわれています。揺れが収まった時や避難する時は、ガス栓を止めたり、ブレーカーを落としたりして火災を防止する措置を行うことが大切です。また、地震等の際はドアが変形することがあるため、出入り口の確保も行いましょう。
家庭内に高齢者や小さなお子様、障害を持った方がいらっしゃる場合は、避難方法(誰が付きそうのか等)等を決めておき、慌てずに対処できるようにしましょう。
⑧連絡方法は?
災害時、被災地は電話のつながりにくい輻輳(ふくそう)状態になります。電話以外にも災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板などの連絡手段がありますので、あらかじめ家族で決めておくようにしましょう。
特に近年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が非常に発達し、災害時の連絡手段として大いに役立っています。是非家族もともだち登録をして、緊急時に電話以外で連絡を取れる手段を複数作っておくようにしましょう。
また、安否を確認したい家族や友人、被災後の生活に関わってくる公共機関は連絡先をメモにリスト化しておきましょう。
災害伝言ダイヤルについてはこちら(情報の取得)にも記載しています。
【参考】
NPO法人 日本防災士機構(2018年)「防災士教本」
東京都(2015年)「東京防災」
国土交通省HP「ハザードマップポータルサイト」
(https://disaportal.gsi.go.jp/index.html 2020年10月23日アクセス)
大阪府HP「大阪府地域防災計画・被害想定」
(http://www.pref.osaka.lg.jp/kikikanri/keikaku_higaisoutei/ 2020年10月23日アクセス)
大阪市HP「”津波・水害から命を守るために”水害ハザードマップ」
(https://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000299877.html 2020年10月23日アクセス)
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