ロタウイルス感染症

特徴

‣ 症状

水のような下痢や白色がかった便、おう吐が続きます。重い脱水症状が数日間続くこともあり、脱水症状がひどくなるとけいれんを引き起こすため入院を要することも珍しくありません。また発熱や腹部の不快感などもよくみられます。多くは2 ~ 7 日で治癒します。


‣ 合併症

まれに脳症を合併して、けいれんや意識障害を引き起こすことがあります。



治療と予防

‣ 治療

特異的な抗ウイルス薬や治療法はなく、脱水を防ぐための水分補給や体力を消耗したりしないように栄養を補給するなどの対症療法が中心となります。脱水症状がひどい場合には医療機関で点滴を行うなどの治療が必要です。下痢止め薬は回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいとされています。


‣ 予防

■ ワクチン接種が有効( 任意接種)

単価と5 価の2 種類のワクチンが承認されており、任意で接種を受けることができます。対象者はいずれのワクチンも乳児です。


■ 便や吐物の適切な処理、手洗いの徹底

便や吐物を処理する際は使い捨てのゴム手袋などを使い、捨てる場合はポリ袋などに入れます。手洗いは指輪や時計をはずし、せっけんで3 0 秒以上もみ洗いします。衣類が便や吐物で汚れたときは、次亜塩素酸ナトリウムでつけおき消毒してから他の衣類と分けて洗濯しましょう。ロタウイルスにはアルコールなどの消毒薬ではあまり効き目がありませんので注意してください。



感染経路等

‣ 感染経路

飛沫感染、接触感染、経口感染が主な感染経路です。ノロウイルス同様、極めて感染力が強い事でも知られています。患者の便中には多量のウイルスが含まれており、1 0 ~ 1 0 0 個程度の少ない量でも感染してしまいます。


‣ かかりやすい年齢

乳児期から5 歳くらいまで


‣ 病原体

ロタウイルス


‣ 潜伏期間

1 日~ 3 日


‣ 注意事項

おう吐や下痢の症状が治まり普段の食事がとれるようになることを登校再開の目安としてください。ただし、ウイルスは便中に3 週間以上も排出されることがあるので注意が必要です。






【参考文献】

厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改定版)」

国立感染症研究所HP