おたふく風邪( 流行性耳下腺炎)
特徴
‣ 症状
3 8 ℃ 前後の発熱、片方だけあるいは両方の耳の下と顎の下にある唾液腺が腫れて痛みを伴う症状がみられます。発熱は数日から1 週間ほどで下がることが一般的です。感染しても無症状な人( = 不顕性感染) が約3 0 % 程度いると言われており、不顕性感染の割合は乳児で最も多く、年齢とともにその割合は低くなります。
‣ 合併症
無菌性髄膜炎・難聴・脳炎・脳症・精巣炎・卵巣炎などの重い合併症を引き起こすことがあります。
治療と予防
‣ 治療
特異的な抗ウイルス薬や治療法はなく、解熱鎮痛剤の投与や腫れた箇所の冷却などの対症療法が中心となります。通常は1 ~ 2 週間で治癒します。一度感染したことのある人は免疫を獲得しているので、再び発症することはないと言われています。
‣ 予防
■ ワクチン接種が有効( 任意接種)
最も効果的な予防法はワクチン接種です。1 歳以上の子どもに対する任意予防接種として生ワクチンの接種が可能です。1 歳時に1 回目を接種し、5 歳以上7 歳未満までには2 回目の接種をしましょう。おたふく風邪は子どもの病気と思われがちですが、免疫が不十分なら大人でもかかる可能性があります。ワクチン接種を2 回を行なっていない人、おたふくかぜに感染したことがない人はワクチン接種を検討しましょう。思春期以降での発症は、ムンプス難聴にかかるリスクが高くなるだけでなく、男性の精巣炎、女性の卵巣炎を合併することもあります。また妊娠初期に感染すると流産の原因になるので注意が必要です。
感染経路等
‣ 感染経路
感染者の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れて感染する接触感染が主な感染経路です。感染力は比較的強い傾向にあります。発症前から感染者の唾液中にウイルスが排出されており、不顕性感染でも唾液中のウイルスが感染源となります。
‣ かかりやすい年齢
幼児期から小学生くらいまで
‣ 病原体
ムンプスウイルス
‣ 潜伏期間
1 6 日~ 1 8 日間
‣ 注意事項
子どもの出席停止期間は「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5 日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止」と決められています。仕事に行けるようになるには「腫れが出てから5 日を経過していること」と「全身状態が良好になっていること」が目安です。腫れがひくまでは人にうつる可能性もあるので、しっかりと自宅で休むようにしましょう。
【参考文献】
厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改定版)」
国立感染症研究所HP
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