風しん
特徴
‣ 症状
発熱と同時に顔にピンク色の発しんが現れ、全身に広がっていきます。また首から耳にかけてのリンパ節の腫れが現れることも多く、寒気や倦怠感などを伴うこともあります。症状は3 ~ 5 日で消えますが、発しんが消えてからも腫れが数週間続くことがあります。風しんに感染しても無症状な人( = 不顕性感染) が1 5 % ~ 3 0 % 程度いると言われています。また発しんは色素沈着を起こさず、痕が残ることはほとんどありません。
‣ 合併症
関節痛・関節炎・血小板減少性紫斑病・脳炎・溶血性貧血・肝機能障害・心筋炎などがあります。
治療と予防
‣ 治療
風しんに特異的な抗ウイルス薬や治療法はなく、症状に応じた対症療法が中心となります。一度感染したことのある人は免疫を獲得しているので、再び発症することはないと言われています。
‣ 予防
■ ワクチン接種が有効( 定期接種)
最も効果的な予防法はワクチン接種です。定期接種として合計2 回( ① 1 歳になったとき② 小学校就学前) 、麻しん風しん混合ワクチン( M R ワクチン) の接種が行われています。大人になってからでも受けることは可能です。また「ワクチン接種を過去にしたかどうかが分からない」「身近で流行していて不安」という方は、まずは病院での血液検査を受けてみて、抗体を持っているか確認すると良いでしょう。特に女性は、妊娠初期に感染してしまうと胎児に重篤な合併症を引き起こす可能性がある「先天性風疹症候群」を発症するリスクが高まるため、免疫を獲得しておくことが大切です。また妊娠中はワクチン接種を受けることはできないので、注意が必要です。
感染経路等
‣ 感染経路
感染者の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れて感染する接触感染が主な感染経路です。感染力は麻しんや水ぼうそうほどは強くありませんが、インフルエンザウイルスに比べると強く、1 人の感染者から免疫を獲得していない5 ~7 人に感染を広げるといわれています。ウイルスは発しんが出る1 週間前から発しんが出た1 週間後くらいまでは排出されると考えられています。
‣ かかりやすい年齢
主に5 歳~ 1 5 歳が多かったのですが、2 0 1 2 年頃からはワクチン未接種の2 0 ~ 4 0 代成人男性を中心に流行しています。風疹第5 期定期接種対象の1 9 6 2 年4 月2 日~ 1 9 7 9 年4 月1 日生まれの男性は積極的に抗体検査を受け、検査結果に応じて予防接種を受けることが勧奨されています。
‣ 病原体
風しんウイルス
‣ 潜伏期間
1 6 日~ 1 8 日
‣ 注意事項
子どもでは比較的症状は軽いのですが、2 , 0 0 0 人から5 , 0 0 0 人に1 人くらいの割合で合併症が発生することがありますので注意が必要です。発しんの消失が登校の目安となります。大人が発症すると発熱や発しんの期間が子どもに比べて長く、関節痛が重症化することも多いため、1 週間以上も仕事を休まなければならない場合もあります。すべての発しんが消失するまではしっかりと自宅で休むようにしましょう。
【参考文献】
厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改定版)」
国立感染症研究所HP
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