麻しん( はしか)

特徴

‣ 症状

■ 感染初期

鼻水やくしゃみ、3 8 ~ 3 9 ℃ の発熱、頬の粘膜部分に白い斑点( コプリック斑) が発生します。コプリック斑以外の症状は風邪とよく似ています。


■ 感染中期~ 後期

初期症状が2 ~ 3 日続くと少し熱が下がりますが、半日後に再び3 9 ℃ 以上の高熱が出て、全身に赤い発しんが現れることがあります。発しんが出てから3 ~ 4 日で熱は下がり、1 週間から1 0 日ほどで発しんも消えます。


‣ 合併症

肺炎、中耳炎、熱性けいれん、脳炎などがあります。

特に肺炎や脳炎を合併した場合は重症となることがあるので注意が必要です。



治療と予防

‣ 治療

麻しんに特異的な抗ウイルス薬や治療法はなく、症状に応じた対症療法が中心となります。一度感染したことのある人は免疫を獲得しているので、再び発症することはほとんどないと言われています。


‣ 予防

■ 手洗いなどの予防だけでは感染リスクは

麻しんウイルスの感染力は非常に強く、空気感染するため手洗い・うがい・マスクの着用だけでは完全に予防できません。


■ ワクチン接種が有効( 定期接種)

最も効果的な予防法はワクチン接種です。定期接種として合計2 回( ① 1 歳になったとき② 小学校就学前) 、麻しん風しん混合ワクチン( M R ワクチン) の接種が行われています。また大人になってからでも受けることは可能です。「ワクチン接種を過去にしたかどうかが分からない」「身近で流行していて不安」という方は、まずは病院での血液検査を受けてみて、抗体を持っているか確認すると良いでしょう。特に、妊娠中の感染は早産や流産などのリスクが高まるため、妊娠を望む方は一度抗体検査を受けることを検討してみてください。また妊娠中はワクチン接種を受けることはできないので、注意が必要です。



感染経路等

‣ 感染経路

感染者の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染、空気感染、接触感染が主な感染経路です。症状は風邪とよく似ているために感染者自身が麻しんであると気づかずに外出することで周囲にうつしてしまうというケースがあります。発しんが出る前の初期段階( カタル期) より気道からウイルスは排出され、カタル期の感染力が最も強いと言われています。不顕性感染はほとんどなく、感染した9 0 % 以上の人が発症すると言われています。


‣ かかりやすい年齢

乳児期後半から幼児期に多いですが、2 0 0 7 年には1 0 代〜2 0 代中心に感染がみられ、多数の学校が休校措置を取るなどの流行がありました。


‣ 病原体

麻しんウイルス


‣ 潜伏期間

1 0 日~ 1 4 日


‣ 注意事項

自宅療養の際は、同居家族にうつさないようにすることが重要です。同居家族の中に免疫を持っていない方がいる場合は、できるだけ接触しないようにしましょう。脱水症を防ぐため水分をたくさん摂り、体力を低下させないよう安静にしましょう。熱が完全に下がってからは、3 ~ 4 日の間は外出は控えてください。子どもが感染した場合は、解熱後3 日までは出席停止期間となります。






【参考文献】

厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改定版)」

国立感染症研究所HP