災害、その時の対処法ー情報の取得ー

災害に必要な情報は注意報や警報情報などの被害を免れるための情報や、どこへ避難したら良いか、水や食料の入手といった二次災害を回避するための情報、支援を受けるための情報が必要になります。これらは「災害情報」と呼ばれ、様々な情報があります。



【被災者が必要とする情報】

被災者にとって必要な情報は、時間の経過とともに変化します。

①被害の情報

発生直後から3時間~は被害状況の把握が関心事。特に地震の場合は余震への関心がもっとも大きな情報ニーズになります。


②安否の情報

被害の状況がある程度分かると、次に必要になるのは家族や知人などの安否に関わる情報になります。回線が切れたり、輻輳状態になることで電話が繋がりにくい状態になってしまいます。

そこで、災害伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板の活用が有効です。また、近年ではSNSアプリが発達したため、連絡手段として活躍しています。


<災害伝言ダイヤル>

災害伝言ダイヤルは臨時に開設される留守番電話サービスで、毎月1日、15日防災週間(8月30日~9月5日)防災とボランティア週間(1月15日~21日)に訓練用に無料開放されます。


③生活の情報

時間が経過すると、次第に水や電気、ガス、交通機関といったライフラインに関する情報や、「飲み水は何処で手に入るのか」「利用できる入浴施設やどこか」「学校や職場が休みなのか」といった生活に関する情報が求められます。

これらの情報は非常にローカルなものになりますので、過去の災害では被災者自らが口コミで伝えたり、壁新聞やビラといった情報伝達が効果を発揮したといわれています。



【様々な災害情報の提供】

・デジタル放送(テレビ)

・コミュニティFM(ラジオ):狭い範囲での情報伝達のため、地震や水害等の地域に応じたきめ細かい情報を提供できる。

・インターネット:利用者がいつでも必要な情報の入手ができる。双方向の情報伝達の有力なメディア。

・携帯電話・タブレット等:エリアメールの受信をはじめ、アプリやSNSの発達により災害の情報伝達手段としてもっとも注目を集めているメディア。


電波を使ってインターネットと同じような信号を送るV-Lowマルチメディア放送、ラジコなどのアプリによってインターネット経由でパソコンやスマートフォンでラジオを聴くことができる等、年々進化しています。ただ情報の取得手段を一つだけ準備していても、基地局が被災して情報伝達できない、HPにアクセスが集中しすぎてサーバーがダウンしてしまう等、不測の事態により取得できないことも考えられます。あらかじめ複数の通信手段を活用できるよう準備しておきましょう。



【災害時の流言】

大規模な災害等で精神的に動揺しているときは、正常な判断能力が失われやすく、流言や風評被害が起こりやすいです。


<流言>

事実の確証無しに語られる情報であり、「根拠のない風説、うわさ」。悪意、好奇心、恐怖、不安、敵意といった感情と深く結びついているため、拡散しやすいのが特徴です。また、伝言ゲームのように、人から人へ伝わっているうちに内容が変化し、もとの内容と大きく異なっていることもあります。


災害に関する流言

・災害の前兆、予言に関するもの:地震雲、動物の異常行動、災害発生の予言など

・災害、被害の原因に関するもの:たたり、ダム決壊、原爆投下、根拠のない原因の流布

・被害状況に関するもの:1985年のメキシコ地震で「メキシコ壊滅」の誤報等

・災害再発に関するもの:阪神淡路大震災時の震度とマグニチュードを取り違え、「震度6の地震がまた起きる」等


流言に惑わされないためには、信頼できる情報源から得るという事が大切です。また、不確かな情報が回ってきたときは、発信の大元を確認することも大切です。



<風評被害>

事実に反することや些細なことが大げさに取り上げられ、世間に噂が広がることで特定の人や業界、地域が被害を受けることです。

東日本大震災による原子力発電所の事故では、国内のみならず海外まで広がり、日本からの輸出品を買い控える等の被害が見られていました。

風評被害を抑えるためには、きちんとした情報発信に加え、受け手である私達ができるだけ過剰な反応を示さないことが大切です。風評被害が被災地に対して追い打ちをかけることになることを忘れてはいけません。



【参考】

NPO法人 日本防災士機構(2018年)「防災士教本」